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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 そして、その信成が偶然森の中の川のほとりで見つけた少女を略奪も同然に妻にした。少女の瞳の奥には優しい理知の光があった。この娘ならば、自分のこれより歩く茨の道を共に歩き、信成の心を理解してくれるのではないか。たった一人、信じられる存在となってくれるのではないか、信成には漠然とそんな期待があった。
「つまらぬ話を聞かせたな」
 長い話を終えた後、信成は重い吐息を洩らした。珠々はゆるりと首を振った。

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