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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 信成を迎えた時房は終始上機嫌で、下へもおかぬもてなしを見せた。時房は若いときに妻を喪って以来、やもめを通していた。従って、屋敷にも下女を置いているだけで、極めて質素な暮らしであった。女気もなく、酒と馳走が運ばれた後は、供回りも退けての時房と信成だけの歓談の場となったのである。

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