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華のしずく~あなた色に染められて~

第2章 二

 既に信成も成人しているからには、この招待は公式なものに相違なく、時房は叔父としてではなく、信成を家臣の一人として迎えたいと言っているのだった。
この時、信成の心にほんのわずかに、先日の密告者の言葉が浮かんだ。だが、信成は即座にその疑念をうち払い、言われた日に時房の屋敷へと赴いた。公式なおなりとはいえども、あくまでも叔父の家へのお渡りゆえ、供回りもほんの数人、身軽な外出であった。

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