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華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

 それは、あまりに哀しすぎた。しかし、都にいる父のことを思えば、秀吉の意に逆らうことはできない。既に将軍の権威は失墜し、秀吉が天下を取るのは時間の問題であろうと云われている。時の権力者秀吉の前では、明子は命じられるままに身体を投げだすしかないのだった。哀しいけれど、それが将軍の娘である明子の生きてゆく道であった。

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