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華のしずく~あなた色に染められて~

第11章 【紫陽花~華のしずく~】二

閨にいるときの秀吉は常に長い髪を解き流し、背後で一つにたばねている。それは、恐らくは同衾する女に寝首をかかれまいとする配慮からではあろうが、今、秀吉のその長い髪はほどけ、寝台の上で明子の豊かな黒髪と秀吉の髪が一つになって絡み合っていた。
 ふいに枕許のろうそくがジジと音を立てて、消えた。
「いやー!!」
 明子の絶叫が薄い闇に呑み込まれていつた。

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