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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

「お願いだから、泣いてくれるな。まるでわしが苛めているようではないか。そなたの泣き顔を見るのは、わしも辛い。最後には笑うた顔を見せてはくれぬか」
 信成の言葉に、珠々は無理に微笑もうとしたが、それは奇妙な泣き笑いの顔になった。
 その時、天守の外から家老貞親の緊迫した声が響いた。
「殿、よろしうござりますか」
「何だ」

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