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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 信成が誰何すると、貞親が戸を細く開けた。
「羽柴殿より火急の使者が参っておりますが、いかが致しましょうや」
 信成はしばし無言であった。貞親が重ねて言う。
「この期に及んで、最早使者も何もございますまい。見せしめのために首をはねてやりましょうか」
 沈着な貞親らしからぬ言葉に、信成はゆるりと首を振った。

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