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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

「私の方こそ数ならぬ身にて、殿のお側にお仕えでき、幸せでござりました」
 声が、震えた。か細い方を震わせる珠々を、信成はそっと抱き寄せた。珠々が顔を上げると、信成の唇がそっと額に触れた。
「そなたの涙は花の上におりた朝露のようだ。そなたが泣いているのを見ると、いつも雫に濡れた花びらを思い出してしまう」
 信成は限りなく優しい微笑を浮かべていた。

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