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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 しばらくして銃声がぴたりと止んだ。同時に城を取り巻いていた兵たちの怒号も次第に鎮まってきた。
 ややあって、先刻までの喧噪が嘘のような静寂が訪れた。
「いかが致したのでござりましょう」
 珠々は不審に思った。耳を澄ませて、外の様子を全神経を集中させて窺う。
 対する信成は端座したまま、穏やかな微笑を浮かべていた。
「静かなものだな。まるで戦の最中であるとは俄には信じられぬようじゃ」

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