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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 城主夫人珠々の計らいで城の奥向きに仕えていた侍女たちは殆どが既に城から出ていた。羽柴秀吉も最初から女たちの生命までをも取る気はないと言って寄越していたのだ。
しかし、長らく奥向きの侍女たちを取り仕切ってきた楓を初め数人の若い侍女たちは、自らの意思で城に残り、城主夫妻と共に城を枕に果てる悲壮な覚悟を定めていた。
 珠々が幾ら城を落ち延びるように説いても、楓は頑として聞き入れなかったのだ。

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