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華のしずく~あなた色に染められて~

第4章 【華のしずく】~試練~

 信成は想いの込もった眼で珠々を見つめた。
「珠々、そなたは早々に城から落ち延びよ。勝負は決してはおらぬとそちは申すが、最早、我が運は尽きておる。あれほどの鉄砲隊を持つとは、羽柴秀吉という男、並の男ではない。早晩、この城もあやつに攻め落とされるに相違ない。そうなる前に、そなたは城の女どもと疾く逃れてくれ」
 それは、珠々の身を心から案じての台詞に違いなかった。

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