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華のしずく~あなた色に染められて~

第28章 【剣(KEN)~華のしずく~】 運命の邂逅

「お頭?」
 浅太が気遣わしげに窺い見ると、青年は鞘から抜き放った長剣をじっと眺めていた。初夏の陽光に眩しく煌めく刃を、青年はまたしても魅入られたかのごとく見つめている。まるで青年の魂をその光り輝く刀が吸い取ってゆくようにさえ思えて、浅太は不吉な刀だと思った。
「天下、天下か」
 青年が小さな声で呟く。

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