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「お頭？」
　浅太が呼びかけても、青年は振り向きもしない。まるで、最初から浅太の声が聞こえていないかのようだ。
―そなたには天下を取る相がある。
　先刻の辻占の婆の言葉がありありと耳奥で蘇った。ただの占い婆さんの世迷い言だとは判っていたけれど。そのときの青年には、何か老婆の予言めいた言葉が頭から離れなかった。