
禁断兄妹
第54章 由奈~終わりの始まり②~
込み上げるのは悔しさなのか怒りなのか
涙まで滲みそうになって
全てを身体の奥に押し戻すように
顎を上げてビールを喉に流し込んだ。
「‥‥はあっ‥‥」
半分ほど一気に飲み干して息をつく。
苦い
「あんたの言いたいことはよくわかった‥‥だからもう帰って‥‥」
「わかったなら、一ノ瀬柊には会わないと、約束して欲しい」
「‥‥約束‥‥?」
思いもしなかった言葉に
身体の中
何かが弾ける。
横顔に刺さったままの視線
私は剣を合わせるように強く睨み返した。
腫れて熱を持っている目の奥が
焼けるように痛む。
「何の為の約束‥‥?お目付け役のあんたの顔を立てる為?」
「あなたの為だ‥‥嬢」
視線の剣がぶつかり合って
火花が飛んだ。
