テキストサイズ

禁断兄妹

第54章 由奈~終わりの始まり②~


肩を突き飛ばすような言い方に
一瞬言葉を失った。

部屋の中に
アルコールで荒くなった私の呼吸だけが響く。


「柊君がいたから、今の私があるの‥‥」


あの日手の中に封じ込めた星
まだここにある


「彼にもらった沢山のアドバイスが、今の私を作ってくれたの」


表情
ポージング
疑問をぶつけアドバイスをねだると
柊君は面倒臭そうな顔をしながらも必ず答えをくれた。

言葉は少なくても
いい加減な答えは一つもなかった。

このベッドの上
二人うつ伏せになって
頬杖をつく柊君の前に何度雑誌を広げただろう。


「私には、柊君が必要なの‥‥」


想いをこめて修斗を見上げた。

わかって欲しかった
けれど
修斗の表情は更に冷ややかさを増しただけだった。


「嬢、論点がずれた‥‥一ノ瀬柊の人間性や美しい友情は、どうでもいい。俺が言いたいのは、スキャンダルに巻き込まれるリスクだ‥‥」


―――真実なんて、愛の前ではなんの助けにもならないわ‥‥―――

不意に和虎君の言葉が甦る。

柊君の真実をどんなに訴えても
修斗にとっては何の意味もない

でも
修斗が持ってるのは
愛なんかじゃない

ストーリーメニュー

TOPTOPへ