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禁断兄妹

第89章 禁断兄妹


黒髪とコートが翻り
俺へと向けられた身体

見開かれた瞳と視線が結ばれた瞬間

萌の顔が
くしゃりと泣き顔に崩れた。



萌の唇が動いた。





萌の足が
再び動き出す。



白い息を吐き
一心不乱に駆けて来る。


俺は夢を見ているのか



どうしてここへ

いや
それよりも

俺を柊と呼んだ



それは
つまり

記憶が


「柊‥‥!!」


両手を広げた萌が
雪を蹴り

両手を広げた俺の胸へ
飛び込んできた。

抱きとめて

その勢いのまま
俺は雪の上へ
尻をついた。

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