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禁断兄妹

第71章 君が方舟を降りるなら


「タカシ先輩って服装とかテーブルマナーがすごくエレガントね。良家のご子息って感じ」


お母さんは私達と一緒の『先輩』という呼び方が気に入ってるみたいで
昨日からずっとそう呼んでいる。


「良家かどうかはわかりませんが、ありがとうございます」


お母さんとたかみちゃんは前にも会っているけど
タカシ先輩とは今日が初対面

昨日たかみちゃんから『タカシ先輩も来てくれるって!』と聞いた私は
お母さんにタカシ先輩とのことを話さざるを得なくなった。

短い期間とはいえ内緒でお付き合いをしていたことを謝ったら
これからはちゃんと話してね、とは言われたけど
それよりも
私に初めての彼氏ができていたことを喜んで
とても興味津々だった。

お付き合いを始めた時のことは覚えてる
ちゃんと家族に紹介したほうがいいのかなって思ってたことも
でもお別れした時の記憶はなくなってしまった

そう話したらお母さんは
明日そのタカシ先輩と会って、萌はどうしたいの?って

私は───

続く言葉が
出てこなかった。

たかみちゃんが私の為にって動いてくれたことだけど
正直私は
タカシ先輩を呼んで良かったのか
やめたほうが良かったんじゃないかなって思ったり

でも
たかみちゃんの言葉を借りて
『よりを戻すとかじゃなくて、信頼できる人だから、疑問にきちんと答えてくれると思う』から
自分勝手だとは思うけどお別れした理由を聞いてみる
その後のことはまだ何も考えていないと
答えた。


お母さんは
確かに自分勝手よねって苦笑い

『でもタカシ先輩は、一方的に自分を振った萌の自分勝手も飲み込んで、会いに来てくれるんでしょう?優しい人ね』

穏やかな表情で
そう言って

『萌の本当の気持ちのままに接してみたらいいわ。
 ただ、その場にはお母さんもいさせて欲しいな』

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