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禁断兄妹

第71章 君が方舟を降りるなら



私と先輩は付き合い始めたばかりだったのに
お別れしてしまったとたかみちゃんから聞いて
すごくびっくりした。

私からお別れを切り出したらしいけど
理由はたかみちゃんにも言わなかったみたいで
その時の私が何を思ってそうしたのかは
全然想像がつかない。

いったい何があったんだろう

たかみちゃんは混乱する私を心配してくれて

『私から先輩に萌ちゃんの今の状況を話してみる。よりを戻すとかじゃなくて、信頼できる人だから、萌ちゃんの疑問にきちんと答えてくれると思うし、力になってくれるんじゃないかな』

それでタカシ先輩も来てくれることになった。


「すごく心配したよ。でも一ノ瀬が思ったより元気そうで、良かった」


先輩
私が一方的に振っちゃったみたいなのに
優しい。

背が伸びてて
なんだか大人っぽく見えるけど

私より少し大きいくらいの細身の身体は
大人の男性に感じるような恐怖感がなくて
ほっとする。

じっと私を見てる先輩の視線に
顔が赤くなりそうで


「あ、そうだたかみちゃん、ほら、あの人がHIROさん。灰谷さんだよ」


「えっ、わっ、本当だ!本物だ!」


私達の声が聞こえたのか
灰谷さんがこっちに来てくれた。


「萌さんのお友達ですね。こんにちは」


「こんにちは!あの、大晦日の試合、すっごく感動しました!」


「僕も見ました。手に汗握るような試合で、最後は会心の一撃でしたね」


「ありがとうございます」


たかみちゃんとタカシ先輩は
灰谷さんに試合のことを色々質問したり
手や腕に触らせてもらったり

楽しそうなタカシ先輩

ふと目が合ってしまって
思わずうつむいた。


本当に私
どうしてお別れしちゃったんだろう

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