テキストサイズ

ショートラブストーリー

第12章 瑛大(えいた)

「…え?」

言葉の意味を図りかねて、思わず聞き返してしまった。

「ごめん。…面倒って?」

「だって…倉田さんが言うんです。処女は面倒くさいって…」

「はぁ!?」

倉田…北方さんといつもどんな話してるんだ!?

好きな子を不安に陥れるような事、何でわざわざ言うんだ?

北方さんが恥ずかしそうに顔を隠す。

…だから、か。

倉田の前でも、こんな風に照れたり恥ずかしそうな顔をしたんだろうな。

そんな姿に、心の奥底で苛立ちの感情が芽生える。

「倉田と仲良いんだね」

「え!?全然!!良くなんかないです!!」

即答された内容に、心の中で笑みを浮かべる。

倉田…残念だったな。

「そう?店の前で倉田に肩貸してるときなんか、仲良さげだったけど?」

「あっ、あれは!!動くなって言うから!!」

だからって、素直に言うこと聞かなくてもいいだろう?

二人の姿を思い出して、苦々しい思いが広がる。

「嫉妬した、って言ったら幻滅する?」

北方さんは驚いた顔で俺を見て…

「全然…。課長、大好きです」

そして、花が咲くようにゆっくりと微笑んだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ