テキストサイズ

ショートラブストーリー

第11章 美帆③

課長の

「何が違うんだ?」

との問いに、倉田は内心ほくそ笑んだ。

よし、食い付いた。

「完璧振られたなら手も出しますけど、中途半端に断られたみたいで」

「中途半端って」

「引っ越しするから一緒にいられない…とか」

「……」

あれ、黙っちゃうんだ。

あんたの話してるのに、ようやく気付きましたか?

「その気があるなら遠距離恋愛すりゃあいいのに」

ピクッと課長の肩が揺れた。

でも倉田は気付かない振りをして

「その気がないなら、『君の事は好きじゃない』とか嘘ついてでも突っぱねれば良かったのに。そう思いませんか?」

笑い話に聞こえるように話したつもりだけど、課長の顔から笑みは消えていた。

「倉田。お前…」

「もしも。そいつが中途半端なままで」

何かを言いかけた課長の言葉に被せて話を止める。

「俺が傷付いた彼女に優しくしたら…堕ちますかねぇ?」

ぐいっと顔を近付けて、にっこり笑う。

「常套手段、ですよね?課長、どう思います?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ