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ショートラブストーリー

第11章 美帆③

「だって…行かないで、なんて言う立場じゃないし」

「誰もそんな事言ってないよ~。気持ちを伝えないの?って話じゃん」

もう伝えたんですよ。

それで、もう振られたんですよ。

これ以上どうしろって言うの!?

「…内緒にしてもらえますか?」

低い声で話すあたしに、比呂子さんがちょっと戸惑いつつ

「内緒にして欲しいなら、ね」

とビールを飲みながら言った。

「実は…」

あたしはバレンタインに告白したことと、食事にいって振られた話をした。

(さすがにキスしたことは言わなかったけど)

話終わると比呂子さんは残ったビールを一気飲みして、ふうっと息をついた。

「ふうん…何かさ、ズルくない?」

「ズルい…!?」

「その…言い方?」

比呂子さんはちらっと課長の方を見ると

「本社行くから付き合えない…って、人事異動がなかったら付き合ってたって事?」

「―え!?」

予想外の話に、あたしは驚くだけで。

そんなあたしを見て、比呂子さんはため息をついた。

「やっぱりズルいよ。美帆ちゃん本気なのに…課長の気持ちは隠したまま行っちゃうなんて」

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