
ショートラブストーリー
第7章 高橋②
翌日。
俺は仕事をしながら、ため息をついた。
昨日、あれから全然寝付けなくて…でも眠気は襲ってこない。
出るのはあくびではなく、ため息ばかりだ。
そんな俺に、喜美子さんが突然話してきた。
「高橋くん、幸福の女神が逃げちゃうよ?」
「はい!?」
「一回ため息つくと、幸せも1つ逃げてくんですって」
「…何の迷信ですか?」
幸福の女神どころか、真由美ちゃんに逃げられそうなんだけど。
思わず苦笑いを浮かべた俺に、オーナーが
「女神なんて待ってても来ないぞ」
と、呆れたように言う。
「何がなんでもこっちに向かせる意気込みが必要だな」
「例えば?」
「そうだな…そっぽ向いてるなら頬っぺたひっぱたいて胸ぐら掴んでこっち向かせる、とか」
「それ…余計逃げられそうなんだけど」
「少なくとも俺はそうしてきた」
オーナーはニヤリと笑う。
「喜美子さん、マジですか!?」
オーナーと喜美子さんは高校生の頃から付き合ったって話だから、嘘なら分かるはず。
喜美子さんはちょっと困り顔で
「まぁ…哲夫くんの話は極端だから…」
否定しない…マジかよ!?
「話すことで楽になるなら聞くからね」
俺の頭をポンポンと軽く撫でて、喜美子さんは厨房に入っていった。
「いい人だよなぁ~」
「俺の、だけどな」
…旦那がこの人じゃなかったら、もっと良かったのに。
どや顔で俺を見るオーナーに、もう一度ため息をついた。
俺は仕事をしながら、ため息をついた。
昨日、あれから全然寝付けなくて…でも眠気は襲ってこない。
出るのはあくびではなく、ため息ばかりだ。
そんな俺に、喜美子さんが突然話してきた。
「高橋くん、幸福の女神が逃げちゃうよ?」
「はい!?」
「一回ため息つくと、幸せも1つ逃げてくんですって」
「…何の迷信ですか?」
幸福の女神どころか、真由美ちゃんに逃げられそうなんだけど。
思わず苦笑いを浮かべた俺に、オーナーが
「女神なんて待ってても来ないぞ」
と、呆れたように言う。
「何がなんでもこっちに向かせる意気込みが必要だな」
「例えば?」
「そうだな…そっぽ向いてるなら頬っぺたひっぱたいて胸ぐら掴んでこっち向かせる、とか」
「それ…余計逃げられそうなんだけど」
「少なくとも俺はそうしてきた」
オーナーはニヤリと笑う。
「喜美子さん、マジですか!?」
オーナーと喜美子さんは高校生の頃から付き合ったって話だから、嘘なら分かるはず。
喜美子さんはちょっと困り顔で
「まぁ…哲夫くんの話は極端だから…」
否定しない…マジかよ!?
「話すことで楽になるなら聞くからね」
俺の頭をポンポンと軽く撫でて、喜美子さんは厨房に入っていった。
「いい人だよなぁ~」
「俺の、だけどな」
…旦那がこの人じゃなかったら、もっと良かったのに。
どや顔で俺を見るオーナーに、もう一度ため息をついた。
