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histoire d'amour eternel

第30章 熱中症

「あそこ座ろうか」


藤の花だろうか。

白く塗られた鉄棒にクルクルと舞う、藤の蔦。

きっと、昼間に見ると緑々しい葉がベンチ上をグリーンの屋根の如く生い茂ってるんだろうな。


なんて思いながら、座り、上を見上げる。



「あんま見てると危ないぞ」



へ?




「何が??」



「毛虫、口に落ちっぞ?

間抜け面して口ぽかーん開けてたら」




むっ…




「口開けてなんていませんでしたー!」



ふんっとして見せるあたしを見て、愉快そうにケタケタと笑う君。


そんな君を見てあたしは



「もうっ」



なんて言いながら、心は全然怒ってなんてなくて



寧ろ、あたしも愉快。




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