テキストサイズ

さようならも言わずに~恋は夢のように儚く~

第3章 弐

自分の生命が残り少ないなんてことを言っちまって、折角築いてきた二人の世界や絆がこれまでと違ったものになるのが厭だったんですよ。だって、そうでしょ。お都弥ちゃんのその秘密を知って、石澤さまがこれまでと全く同じ平静でいられますか? あの娘はただ、惚れたお人と最後の瞬間までごく普通の恋人同士でいたかったんだと思いますけどね、私は」
「何の病だったのだ―?」
 嘉門が力なく問うと、内儀は眼を開いて緩く首を振った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ