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陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

そう、頭で理解してみるけれど、でも心は反比例…。


振られたという事実を受け入れてる自分。


それでも、やっぱりまだ、キスの意味だの、今までの行動の意味だの理由付けして受け入れられてない、自分。


2人の自分が1つの身体の中で交差して胸がギュッと締め付けられ苦しくなる。


その苦しみから逃れようと、目を綴じ眠りの世界へと己を導こうとするけれど


苦しみは、そんな簡単にあたしを解放なんてしてはくれなくて。


目を綴じれば、脳裏に浮かんでくる花木君の優しい笑顔。

耳を澄ませば、鼓膜に伝う花木君の優しい声色。


“琉愛”


そう呼びながら、優しくあたしに触れる温もり。




そして……




昨日、あたしの唇に触れた花木君の柔らかな唇の感触。

そして、温もり。




それらが蘇ってしまって、更にあたしの胸を締め付け

息苦しさでハッと目を覚ます。





―――結局。





この繰り返しで、あたしは一睡もする事が出来なかった。







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