テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第13章 失恋

だけど、不思議。


どんなに花木君の事を思い浮かべて胸を痛めたりしてても

押し寄せる悲しみに息が苦しくなっても



何故か、涙だけは出なかった。



泣くのを我慢したわけじゃないし、寧ろ、こういう時って大泣きしてスッキリした気分だったりもするのに


何故か、一滴も涙は零れなかった。



……もしかして。



自分で思うほど、さほどそんなショックを受けてないのかな…?


自分で思うほど、さほど花木君の事好きじゃなかったんだろうか…




なんて思ったけど、そんなはずはないもん。


あたしは花木君がずっと好きだったんだから。

花木君だけをずっと見て来たんだから。


だから、好きじゃなかったなんてわけはない。



こういう時、涙が出ない理由は、きっと……




あたしが失恋したからってシクシク泣くような可愛い女じゃなかったって事なんだろう。


振られても泣けないなんて…。



涙にも見放された、とことん可愛くない女だ。



あたし。





自分を客観視して思わず苦笑が零れた、その瞬間、




ストーリーメニュー

TOPTOPへ