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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

“どう?”

って言われてもさ。

だから、あんたが口塞いでるんだからどう返事しろっつーの。


目元はにこやかさを保ちつつ

心の中で1度……

いや、2度3度とクソ橘に向け舌打ち。


小さく小刻みにコクリコクリと2度頷いてみせれば



「ほんとにぃ?」



なんて、語尾を上げながらあたしの前髪をツンツン触り、疑い度100%のクソ橘。



嗚呼、ウザい。



「ほんとに約束出来る?」



出来るっつーの。

しつこいっつーの。

ウザいっつーの。



“つーの”3段活用を内心毒吐きながら


もう1度、にこやかにコクリコクリ。



そんなあたしの目を疑ってんのか何なのか。

真っ直ぐ見下ろしてたクソ橘は、軽くフッと笑って



「じゃぁ、約束ね?」



軽く囁いて、近かった身体を離し、
拘束してた両手をまず、解放。

最後に、ゆっくりとあたしの口を塞いでた手を離して



「こんにちわ、流愛ちゃん」



今更ながらの挨拶をして、ニカリと笑った。




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