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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

そんな人間社会だって事は小学生の時に痛い程、知ってる。

身を持って体験してるから、ちゃんと知ってる。



――――でも……



今、もしこいつの急所を蹴り上げて黙らせたら?

今、こいつのプライドをズタズタにするくらい凹ませてやったら?


その噂が流れたら……




……花木君は……?




“今”のあたしだからこその、恋人ごっこ契約。


あたしがか弱くなくないって噂が流れたら?




“ほっとけない”




恋人ごっこは、解消………?





“琉愛”





………ヤダ…




こいつを蹴り飛ばして噂になる事なんて別に平気だけれど

人なんてそんなモン

そう思ってれば必然的な事だと思うから平気だけれど




でも



あたし……




まだ……ごっこでいいから花木君に触れていたい……



とか思ってしまっちゃってるから、振り上げるだけの右足が出ず




「ねぇ、流愛ちゃん」



未だ、このバカ橘に主導権握られちゃってるんだ。






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