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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

そう思いながらも、右足は既に力が入ってて、蹴り上げる準備万端。


軽く上に腿を上げれば、一瞬でもこのバカ男の力は緩むハズ。


そしたらそこを畳みかけるように………



頭で瞬時にイメトレしながら、ふっと沸く思考に



思わず、蹴り上げる準備万端だった右足が躊躇。



……ここで蹴り上げたらあたしの評判、どうなるだろうか。




可愛くて、か弱くて、優しい琉愛ちゃん。




このイメージは軽く、この橘のせいで見事に儚く散るんだろうか。

きっと、この橘は人に言って回るだろう。


『あの琉愛ちゃんに……』


腹いせにきっと言って回る。

こういうタイプは絶対、そう。

だって、今までもそうだったから。

自分の都合の良いように、自分の思い通りの言葉を並べ、それを噂へと変える。


そして…


人の負の噂ほど光よりも速く人の耳に伝う。

人は良い噂ほど興味は無い生き物だけれど、相手のマイナスになるような噂はとにかく1番の大好物。

生きてく上でとても甘味で幸せさえも感じてるんじゃないか?

ってくらいの、スパイス。


あたしの今までのイメージが見事に消え去るような噂なら当然、飛び付くだろうな。


それが例え、自分の身を守る為だったとしても、そんなのお構いなし。

自分達の都合の良い状況を勝手に作り出し、好き放題言って回る、噂。

自分達のストレスを噂話にして発散してるかのような感じもある。


噂を噂とせず、噂こそ真実だと思い込む。

でたらめだろうが、何だろうが

面白ければいいっていう、理不尽な世界。






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