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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

聴こえて来た声色からはやっぱり、男。


だけど、誰?



誰だか分からない気持ち悪さと、こいつの行動のムカつきさに腹が立ち始めるあたしとは違って


「誰だと思う?琉愛ちゃん」


なんて、今を楽しんでるような声色で言葉を投げてくる男。



……イラッ。


マジで、何なわけ?

マジで、苛ついてくるんだけど。

マジで、これが向き合ってたら間違いなくこいつのピーを蹴り上げてやるのに。

砂羽だったら、後ろ向きでもそのまま握り潰したりしてるんだろうか。



ってか



「手、退けてくんないかな?」



いつまでも優しいと思うなよ、ボケ。
いい加減しつこいとマジでキレるよ、あたし。


気を抜くと口から洩れてしまいそうになるのをグッと堪え

まだ、何とか冷静な声で後ろの男へと言葉を投げ返した時―――




ガタッ‼




「琉愛?」



扉を開けようとした音と同時に、あたしの鼓膜に響いた花木君の声。



「はな……っ…‼」



花木君に届くよう、花木君の名前を呼ぼうと声を発した。



…けれど。



「だーめだよ~ん♪琉愛ちゃん♪」



目元を覆っていた手は退かされ、塞がれてた視界は開け

あたしの瞳に光は戻った。



けど、



今度は背後から両手で口元を覆われ




「んん~~~~~っっ!!」




言葉を塞がれた。







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