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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

渡り廊下を渡って図書室へ向かう途中

何気なく下の階を見下ろすと、職員室に入って行く花木君の後ろ姿が見えて


“先に行ってて”


花木君の言葉を思い出し、キュンと胸が高鳴る。


花木君が来るかも…なんていう邪心から始めた図書委員。

その委員の時以上に、図書室へと向かい足か軽やかに弾む。


そんな時でも、チラリと脳裏に浮かぶ


“恋人ごっこのままでいいわけ?”


砂羽のズバリ発言。



……このままでいいって思うあたし。

……このままじゃ良くないって思うあたし。



正直、どっちのあたしが強いのか、あたしでさえ分からない。


ただ、今分かる事は

ただ見てるだけの毎日だった日常から、一気に花木君に急接近出来て。

今まで見れなかった一面や、今まで知る事のなかった一面がほんの少しでも垣間見れて。

それって、今までのあたしからしたら凄い1歩で。

凄い凄い1歩で。



だから……



花木君と、これから先どうするか…

なんて思考まで追いつけてないって事。


満足するしないの以前に、自分自身がここ数日常に夢見心地なんだって事。


だから、何も考えれないっていうのが現状、1番当て嵌まる答えなんだよね。きっと。


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