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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

あたしを見上げる花木君の眼差しと

花木君を見下ろす、あたしの視線。


2つを交わらせながら



「僕の読んでる本は」



何で、今このタイミングで突然目を覚まして本の説明し始めるのかさっぱり分からないけれど


何で、あたしの手を掴んだまま、視線を反らす事なく話を進めるのか分からないけれど


それでも、彼の言葉に耳を傾け
彼に握り締められてる手を解けないままのあたしは


ただ、ただ、ドキドキしながら小刻みに頷く事が精一杯。



「琉愛の答え、本当に惜しかったんですよねー」


「そ、そうなんだ?」


「はい。

僕が読んでる本はですね?」


「うん……?」


「ダニエル・キイスが書いた

24人のビリーミリガンっていう本なんですよね。

知ってますか?」







――――――はい?








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