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陽だまりの仮面 -嘘-

第7章 夕陽と泪味

なんて考えてる間も、あたしと花木君の間には何の会話も生まれて来なくって。


何か話さなきゃ…。

何か話さなきゃ…。


って思えば思うほど、何を話していいのか会話さえも思い浮かばなくて。



結局



「………。」


「………。」


THE 無言。


クソ木山とかどうでもいい奴相手だと、どうでもいい内容の会話が繰り広げられるというのに

何で花木君だとこうも会話が浮かばないんだろう…。



当たり前のようにあたしの家まで自転車を漕ぐ花木君に、ただ一言



『あたしの家、覚えてたんだ?』



たったこれだけの事なのに、言いたくても変に身構えてしまって。


結局、言葉を飲み込んで未発声。




あたし、何やってんだろ。




「はぁ……。」



自分らしくない自分に情けなくなって、思わず花木君の背中で深い溜息を漏らした。






――――と、その時。










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