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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

 曽太郞が夜具に横たわり、焦燥に駆られていた頃。
 千汐は、予定日よりはかなり遅れて、男児を出産した。半月ほどはまだ産褥に伏せっていた千汐だが、今度からは赤児と自分の二人分の食い扶持を稼がねばならない。むろん、生まれたばかりの赤児はまだ乳を呑み、眠っているばかりだけれど、この子も直に大きくなる。

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