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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第13章 山茶花~さざんか~ 其の参  

 子どもはよく風邪も引くし、流行病にもかかる。そうなれば、医者にも診せねばならないし、薬代も必要だ。そのまさかのときに備えて、それなりの蓄えをしておかなければならなかった。もう、これまで一人で気儘に生きてきたときのように、その日を何とか凌いでいければ良いというような刹那的な生き方は許されない。
 千汐は、人の親となることの重さを、ひしひと感じた。

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