
花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~
第12章 山茶花~さざんか~ 其の弐
粋な着流し姿から察するに、大方は賭場の用心棒といったところか。もしかしたら、もっと危ない仕事に拘わっている人間かもしれない。とにかく、全身から発散する殺気が並のものではなく鋭かった。
大店のお嬢さまであった頃は、人の本性なぞ見抜くことすらできなかった千汐だが、今なら、大抵の男の性根を見極めることができるようになった。
このような類の男とはあまり拘わらない方が良いと経験と勘で心得ている。千汐は曖昧な笑顔を浮かべ、頷いた。
大店のお嬢さまであった頃は、人の本性なぞ見抜くことすらできなかった千汐だが、今なら、大抵の男の性根を見極めることができるようになった。
このような類の男とはあまり拘わらない方が良いと経験と勘で心得ている。千汐は曖昧な笑顔を浮かべ、頷いた。
