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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

「あたしなら良いの。弥助さんこそ、あたしのためにこんなことになっちまって、ごめんなさい」
 心底済まなさそうに言うのに、弥助は笑った。
「おれんさんが気にするこたアねえよ。三笠屋の若旦那は、どうなった?」
 徐々に意識がはっきりとしてくる。ゆっくりと辺りを見回してみたが、藤次郎の姿は見えない。

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