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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第10章 花いかだ 其の参

「あんな男、最低!! これまでも嫌いだったけれど、今夜という今夜で、とことん愛想が尽きましたよ。あの生っ白い顔を思い出しただけで反吐が出そう」
 厭そうに言うおれんに、弥助は笑おうとして、思わず頭の後ろが痛んだ。後頭部にズキンとほんの一瞬だが、厭な感じの痛みが走った。
 しかし、痛みを感じたのは一度きりで、後は何も変わらない。手脚をそろそろと動かしてみても、よく動くし、とりあえず、どこにも大した怪我はしていないようだ。

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