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花は月明かりに濡れて~四つの恋の花~

第1章 恋花(こいばな)一つ目~春の夢~壱

 女はそのか細い身体のどこにこれほどの強い力が潜んでいるのかと思うほどの力で暴れる。
 清七は凄まじいまでの力に撥ね飛ばされそうになりながらも、渾身の力で女を羽交い締めにした。
「子どもの泣き声なんて、どこからも聞こえてきやしねえぜ。おい、しっかりしな、よっく耳を澄ませてみろよ」
 懸命に言い聞かせてみても、女はいっかな聞く耳を持たず、あらん限りの力を出して抗う。

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