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「あのさ、


その、智己と話したんだけどね…」





歩いていた圭介が立ち止まった






顔からは表情が消える






私は恐怖に目をぎゅっと閉じた





(ここでまた、逃げるわけにはいかない…！

はっきりさせないと)




そう心に決めたんだからと自分に言い聞かせ
震える声を振り絞る






「いろいろ考えたんだけど

このままじゃ良くないと思って…


それに、私はもう我慢するの嫌だよ…」




私は目を閉じたままでいた




圭介が近づいてくる気配を感じる




「我慢…？」




圭介の低く発せられた声が
頭上から聞こえる





「唯は今まで我慢してたの？


いろいろ、自分からもしてくれたのに？

嫌がってなんてなかっただろ？」




声の調子は変わらないまま
私を責め立てる




「あいつにそそのかされたんだろ？


なぁ、そうやって言えって言われたんだろ？」




(違う…

そんなんじゃない…！)




「なぁ唯、そうだろ？」





私は目を閉じたまま
歯を食いしばり大きく首を横に振った





「唯、俺に嘘ついちゃだめでしょ」





そう言って圭介は私を抱きしめる






「唯はあいつにだまされてるんだよ？

唯には俺だけだよ
俺は唯の事大切だから
他の男と近づいて欲しくないし
俺のもので居て欲しいんだよ」



圭介は私の頭に
自分の頬を擦り合わせるように言った




「唯、だから本当のことを言って？」






圭介の腕に力が強まる





(だめだよ…

嘘なんかじゃないんだから
はっきり言わなきゃ…！)





「嘘じゃな…「唯、本当は？」





決死の思いで口に出した本当の気持ちさえも
圭介は揉み消してしまう


さっきまでとは違う
強い口調で…