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やっと、やっと…

第9章 暗い闇の中

「あいつとは本当に離れた方がいい

いや、離れてほしい




唯があいつのこと好きなら
そのままでもいい、けど…




俺は辛そうな唯は見たくない」






そういうと智己が一度下を向き
もう一度顔を上げた









「唯、俺なら…






俺なら唯を大切にできる
俺ならこんな風にしない










だから、俺のとこおいで」











心臓が大きく鳴った



(そんな目で、見るから…)





(それに、俺のとこおいでって…

これは告白…?)



改めて考えると
恥ずかしくなった


顔が一気に熱くなる



思わず見入っていた智己の顔から
目を逸らす








(圭介のこと
もう確かに好きじゃないけど
こんなの、ダメだよ…)










「俺ずっと、唯のこと好きだった」









「・・・・っ!」







私はその言葉に智己の顔を見る




(やっぱり、俺のとこおいでって…)






智己の目は私の目を捉えて
離さない





私は何も言えなかった






「考えておいて

辛いなら俺のところに来ればいい



俺は唯のこと傷つけないし

こんな顔もさせない」





そう言って智己は立ち上がる





「じゃあ俺部活行くね」






「・・・・っ」





何か言わなきゃいけないのに
やっぱり声がでなかった







そのまま何も言えないまま
智己は行ってしまった








「・・・っはあ、」



(どうしたら、いいんだろう)





まだ心臓が高鳴っている


顔も熱い





(智己がそんなこと
思ってたなんて・・・)






もし、このまま智己の元へ行かなければ


私はまた一人で苦しみを背負って行くのだろう




もし、圭介と別れて智己の元へ行けば


行ったとしても・・・



圭介はどうなる?





(別れられるのかな・・・)





結局その日は


結論が出ないままだった


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