
やっと、やっと…
第9章 暗い闇の中
それから数日後の日曜日
久しぶりに圭介と家で遊ぶ
あれから家で遊ぶなんて
怖くて出来なかった
だけど圭介から誘いがあって
親がいる時ならと思い
今日私の家に来ることになった
「いらっしゃい圭介くん久しぶりねー」
何も知らないお母さんは
圭介を笑顔で迎え入れる
「じゃああがって」
私は圭介を部屋にあげる
「唯の部屋あがるの久しぶり」
「そう、だね…」
なんだかお互いにぎこちない
圭介がジャケットを脱ぎ座る
私もテーブルを挟んで
向かい合うように座った
・・・・・・・
長い沈黙が流れる
(気まずい…)
圭介も下を向いたり部屋を見回したり
落ち着かなそうにしている
(あのこと、聞くなら今しかない…)
「あのさ…」
「なに?」
圭介が私の方を見て答える
「この前、智己と喧嘩、してたよね?」
「あっ、あぁ…」
圭介は俯く
「何があったの??」
圭介は何も言わない
「智己も話してくれなかったし、
どうしたの?」
「あれは、
…野球のことだよ
唯は気にしなくても大丈夫」
そう言う圭介の顔は曇っていた
(絶対違う、野球のことなんかじゃない
だったらなんで、智己は私と帰ろうなんて言ったの?)
「それよりさ、」
圭介が低い声で言う
「あの日智己と
何話したの?」
ドキッ
「別に、なにも…」
(別れろって言われたなんて言えない)
「そっか…」
圭介は表情を変えない
「あんなに、抱き合ってたのに…?」
