
やっと、やっと…
第9章 暗い闇の中
「・・どうして?」
(なんで智己がそんなこと・・)
私は驚いて智己を見る
「どうして、そう思うの?」
「何があったか分からないけど
あいつからは、離れたほうがいい」
まさか、智己は分かっているんだろうか
圭介と何があったのかを
「そうなのかな・・」
私もあの時のことを考えたら
離れた方がいいのかも知れないとも思っていた
だけど、今の圭介なら・・
と思ってしまう自分も居た
そんなことを考えながら暫く歩くと、私の家の前まで来てしまった
「じゃあ、また明日」
「あっ!待って」
後ろを向いて歩き出そうとする智己を呼び止める
「さっき、何で圭介と喧嘩してたの?」
ずっと気になっていたことを聞いた
「唯は、気にしなくていいよ」
そういう智己は苦笑いだ
「そっか・・・」
それ以上聞けない
なんとなく
私はそう思った
「ごめん・・ありがとね」
私は気まずい雰囲気を変えようと
笑顔で言った
「おう」
智己も笑顔になる
それから私は自分の家に入っていく
その様子を智己は最後まで見送ってくれた
―――そして、
それを遠くから見つめる姿があった
