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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 「砂嵐や夜の獣よりも砂漠の鷹には気を付けろ」、それが当時の砂漠の旅人たちの合い言葉であった。が、それほどに人々を恐怖の底に陥れた砂漠の鷹は、今から十年ほど前、急にふっつりと姿を見せなくなった。一説に熱砂の砂漠で行き倒れたのだとも、盗品を巡っての仲間内の争いで惨殺されたのだとも噂されたが、真相は判らず、砂漠の鷹の消息は絶えた。以後、砂漠を旅する商人たちは枕を高くして夜を過ごすことができたのである。

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