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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 砂漠の鷹の顔を見た者は誰もいない。何故なら、不幸にも砂漠を渡る途中、彼に遭遇した交易商人たちは皆、物言わぬ骸となり砂漠の獣の餌食と化したからだ。ただ、若者ばかりを集めた盗賊団の中では年かさの、年の頃は二十歳過ぎであるということ、なかなかの男前であるけれど、右頬に鋭い疵痕があること―などが半ば伝説のように語られていたにすぎない。

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