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仙境綴~美しき仙界の王と身を捧げる少女~

第6章 三つめの物語~砂漠の鷹~

 幼い頃、翠華も「砂漠の鷹」の名を耳にしたことはある。人々が魔の砂漠と怖れる広大な砂漠を縦横無尽に駆け巡り、行き交う隊商を襲っては略奪の限りを尽くす大盗賊。狙った獲物はけして逃さず、すべての物を奪い、ただの一人も生かしてはおかない冷酷非道な盗賊団の若き長を、人は「砂漠の鷹」と呼び、砂漠そのものがもたらす自然の脅威よりも怖れた。

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