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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 明香は思いもかけない問いに、言葉さえ浮かばない。漸く言葉を選びながら、少しずつ応えた。
「私は十一歳で伯父夫婦の許を離れ、宮廷に入りました。ゆえに、私が知っているのは、ごく狭い後宮という世界の中だけなのです。誰かを愛したとかいう経験は残念ながら、ございませぬ」
 宮廷女官となったその時点から、明香は生涯誰にも嫁がぬと定められたも同然だ。

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