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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第2章 禁断の恋

 短い沈黙が落ちる。王は眼を瞑って、何かの想いに浸っているようだった。大方は、山百合を愛したという亡き王妃を偲んでいるのだろう。余計な口を差し挟むのもはばかられて、明香はじっと側で控えていた。
「孫尚宮は、誰かを心から愛したことはあるか?」
 その静寂を破ったのは、やはり王だった。

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