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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 明香が別離を決意して自ら背を向けた夜さえ、王は〝傍にいて欲しい〟と言った。
 王はその言葉を幾度口にしただろう。今、明香が漸く見つけた真実の想いはただ一つであった。
 私は主君としてではなく、一人の男性として主上をお慕いしている。尚宮として仕える主(あるじ)でもなく、至高の存在たる王でもなく。
 明香にとって、王は最初から今まで、ただ一人の男性であった。

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