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秘め事は月の輝く夜に、あなたと~後宮華談~

第4章 心のゆくえ

 十六夜の月明かりを浴びながら、カヤグムと笛を合わせたあの夜。あのまま息絶えてしまっても良いとすら思った、至福の夜だった。
 次には、王がいつか口にした科白が耳奥で響いた。
―予はそなたに尚宮としての任務を全うせよとは言えぬ。残酷なことを申しているのは判っている。だが、この想いはもう止められぬ、予の傍にずっといてくれぬか。

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